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蕩けるようなキスをして
第42章 もう一秒
名を呼ばれた以上、いつまでも怒ってる振りも出来ず。
華夜子は彼に向き直る。
熱い頬はそのままで。
またからかわれてしまう?-不安でちょっぴり泣きそうだったけど、勇気を出して、彼を正面から見据える。
いつの間にか、陸もこちらを向いていて。
ふたりの視線は絡み合う。
意地の悪い何かを言われる事もなく。
寧ろ真逆の、穏やかで、深い優しさを湛えた眼差しで、見詰められる。
もう、これ以上、どきどきさせないで-…。
「後ろ向いてよ、華夜」
陸は華夜子に、頼んだ。
「ええっ?」
またしても予想外の言葉に、華夜子は驚いてしまう。
目を見開く華夜子に、陸は然(さ)も愉快そうに、肩を揺らす。
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