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蕩けるようなキスをして
第42章 もう一秒
勝手に他の部屋の扉や、冷蔵庫を開けたりもしない。
その中で最上なのは、プライベートな空間にはまず、立ち入らない。
更に、その最たるものが、彼の部屋の中では、ベッドの上、だった。
初日からそこに座るかどうかの確認をされたが、とんでもなかった。
その日から、今まで、極力近付かないように、離れた場所に座っていたのに。
なのに、いきなり、そこへ来いと。
そして、そこへ座れ、と。
そんなの、やっぱり、どうしても、難しかった。
「…や。でも、そんなプライベートな空間って言うか、場所って言うか?ましてや、男のひとのなんて…無理だよ」
ブルーのスカートの裾を弄りながら、華夜子は言い訳のように、呟く。
頑(かたく)なな彼女に、陸は苦笑いを継続させて、言った。
「プライベートって言うならさ。もう、この部屋の中にいる事自体、その空間にいると思うけど」
「…ま、それは、そうだけど」
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