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蕩けるようなキスをして
第39章 一日千秋
本当に。
ただただ、嬉しかった。
「でも、いつも。自分の為に作って来たお弁当ばっかり、あげてるね。…いつか、陸の為に作ったものを、陸に食べて欲しかったな」
語る華夜子の口調は、どこか淋しげで。
話の内容はこの上なく喜ばしいものなのに、陸もまた、心が騒がずにはおられなかった。
「…何、その過去形」
「え…?」
「食べて欲しかったじゃなく。今度、食べて欲しい…そうだろ?」
胸が締め付けられる。
哀しくもあり。
腹立たしくもあり。
陸はなんとしても、彼女に肯定して欲しかった。
そんな陸に、華夜子は口角を少しだけ上げ、笑ってみせる。
声に出して-では、なく。
肯定とも否定ともとれる、どっちつかずの華夜子の微笑みに、陸は鬱々としてくる。
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