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蕩けるようなキスをして
第39章 一日千秋
それだけではなく、ここはひとりになりたい時にも、打って付けの場所だった。
滅多に誰も近寄らない、所謂、穴場のような教室だった。
午後一の講義まで、ここで少し静かに過ごそう-陸は、ドアに手をかけた。
講義室に一歩足を踏み入れ、心臓が止まるかと思った。
一番奥の机に座る彼女もまた、両方の瞳を大きくし、固まっていた。
「…華夜」
「…陸」
ふたり、同時に、それぞれの名を呟いていた。
一瞬。
ほんの、一瞬。
まずかったかな-そんな考えが頭を過ったけれど、今更の話。
陸は、とりあえず、教室に入り、ドアを閉めた。
そこでまた、どこに座ろう-迷ってしまったが、隣り以外にないよなと思い直し、彼女に歩み寄る。
座ってもいい?-訊けば、彼女は微かに、首を前後に振った。
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