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蕩けるようなキスをして
第37章 欲しいもの
彼女に近付けば、栗色の艶やかな髪から、馴染みの香しい匂いがする。
華夜-陸は酔わされ、彼女の首筋へ再度顔を埋(うず)めた。
間近で嗅げば、忽(たちま)ち、その虜となる-。
逢わないでいるだなんて、とても無理-陸は、思い知らされた。
「やあ…んっ…くすぐった…」
彼によって、すっかり敏感にさせられてしまったその身体は、ちょっとの刺激ですぐに反応してしまう。
「…んだよ。なんもしてねーだろ」
華夜子の思いがけない色を含んだ声に、陸は不機嫌になる。
彼女の首に顔を寄せ、その匂いを存分に愉しんでいるだけだ。
触るとか、舐めるとか、口付けるとか-少なくとも今は、そういう行為を一切していない。
なのに、明らかに、自分が何かをしたかのような声を上げられた。
「だって、陸の髪の毛が-」
華夜子は恥ずかしそうに、陸に告げる。
柔らかな落栗色の髪が、彼が僅かに頭を動かす度に、首筋をくすぐっていた。
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