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蕩けるようなキスをして
第34章 彼の過去
それから、彼女の艶やかで長く美しい髪を梳きながら、陸は囁く。
「今すぐ、華夜とそういう関係になりたい。華夜を、すげー大事にする。すげー大切にする。…昔の男にだって嫉妬する。未だに、してる。これからだって、華夜に近付く男みんなに妬きまくる。なんでもない事に、腹が立つ。取り越し苦労で、滅茶苦茶不安になるに決まってる。…分かっていても。それでも。俺は、華夜とそういう風になりたい」
陸の優しく、ゆったりとした、手の動き。
ともすれば眠気を誘う、その一定のリズムで髪を梳かれ、華夜子の意識は遠くへ飛びそうになる。
「そういう関係になって、妬いて、怒って、憂いて…華夜を縛ってやりたい。どこにも行かないように。誰の目にも触れないように。俺だけのものとして、華夜を束縛したい。俺だけの華夜になって。俺の、華夜になって-」
その甘い眼差しで訴えられたら。
その甘い吐息と共に囁かれたら。
本当に。
今すぐ。
うん-そう、言ってしまいそうになる。
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