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蕩けるようなキスをして
第34章 彼の過去
「華夜、講義終わった?」
陸は、乃愛に対するそれとは明らかに違う声音で尋ねる。
優しく、穏やかに-微笑みさえ湛えて。
「…うん」
華夜子もまた、微かに笑い、彼に答える。
返事をしたきり。
相変わらず佇む華夜子に、陸はベンチの左側の空間を勧める。
「座らないの?」
彼の誘いに、華夜子は頷き、陸の隣りに腰を下ろした。
陸を真ん中に、三人並んで腰掛ける事となる。
「両手に花じゃん。やったね!櫻葉陸」
乃愛の腕に再び掴まった陸は、彼女から逃れようとするが、どうしてなかなか上手くいかない。
「やめろって。華夜に誤解されるだろーがっ」
少し強めに怒ってみるが、乃愛にはなんの効果もなかった。
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