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蕩けるようなキスをして
第33章 抱擁
どうやら思っていたよりも怒らせてしまったようで。
陸は口元を僅かに上げ、急いで、彼女の身体を抱き締めた。
「もうっ。離して。帰るっ」
「不可抗力だ。口を開いた時に、ちょっと舌先が触れてしまっただけ。許して、華夜」
「あ、あんなにはっきり舐めておいて、よく言う…!」
厚顔無恥とはこの事-華夜子はなんとか彼の腕を振り解こうとするのだが、どうしても外れてくれない。
やっぱり自分は女で、彼は男だ。
力では敵わない。
悔しくなってきたところで、陸の嘆願するそれが届いた。
「もう少しだけ、華夜」
更に、もう一度。
はっきりと、確かに。
陸は華夜子に願った。
「あと、もう少しだけでいいから。こうしていたい」
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