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第33章 抱擁

両胸の膨らみを押し付けられ、平気でいられる男がいるのなら教えて欲しかった。
ともすれば危うく、そのまま彼女を押し倒しそうにもなり。
その危険を察知し、陸は慌て、どうにか頭の中を切り替える。
「華夜って、随分積極的なんだな。知らなかった」
陸はからかいを含んだそれで、彼女を辱しめる発言をする。
華夜子はようやく、我に返る。
初めは、何を言われているのか、分からなかった。
しかし。
どう考えても必要以上に密着し、抱き付いているのは自分の方だと気付いた時。
華夜子の顔は一気に、燃えるように熱くなる。
急いで陸の胸から身体を剥ごうとしたのだが、彼がそれを許可するはずもなく。
「積極的な女は大好きだ。華夜もそうだったみたいで、すげー嬉しい」
腰を固定され、耳元で、囁かれる。
「ご、ごめんなさ…っ」
－違うの、これは。
言い掛け、ようやく、記憶が戻る。