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第33章 抱擁

「俺ばっか、こんなにまでなって不公平だろ。…なれよ。華夜も、なれよ－」
華夜子を胸に掻き抱き、陸は吐き捨てた。
「どんなに切ないか。どんなに辛いか。どんなに苦しいか。どんなに焦れったいか…そして、どんなに愛おしいと思っているか。華夜に全部、分からせてやりたい。だから－」
だから早く、俺が華夜を好きなのと同じくらい、華夜も俺を好きになれよ－激しく、甘く、陸は命じた。
彼のあまりの激情に、華夜子は声を上げる事も出来ない。
されるがまま、その腕に情熱的に抱かれ。
蕩けそうな囁きの数々を一身に受ける。
彼に痺れ。
彼に溶け。
もう、彼の意のまま。
彼に、全てを捧げるしかない。
彼に、服従するしかない。
恍惚とする意識の中、右の耳朶に陸の唇が触れた。