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蕩けるようなキスをして
第3章 中庭
楽しくて仕方がない-そんな彼の話し振り。
「おねーさん、座ろうよ」
中庭のちょうど真ん中辺りに置かれたベンチを、陸が指差した。
木の陰にある訳でもなく、もろに直射日光が当たる位置にあるからか、誰にも座ってもらえず空席となっていた。
暑そうなのも、更に皆の注目を明らかに浴びそうなのも嫌だった。
何より。
そろそろ戻って次の授業の準備をしないと-そう、断ろうとしたのだが、
「昨日の事。今ここで喋ってもいい?」
-勿論、大声で。
本日二度目の脅しを陸から受け、華夜子はもう反撃する気も失せた。
逆らってここでまた何かされたら、それこそ堪ったものではない。
明日から本当に大学に行けない-或いは行きたくない事態に陥ってしまうかもしれない。
素直な華夜子を、素直に陸は嬉しがり、再び彼女の手を掴み、ベンチに導いた。





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