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蕩けるようなキスをして
第29章 嫉妬
呆れ、笑われる程の事って何-さっぱり見当もつかなかったが、それを聞かない内は、気になり出掛けられない。
痴話喧嘩か何かだと思われてるのか-連続で大声を張り上げる自分に、注目が集まっているのは気付いていた。
だが、この彼といる以上、どっちみち浴びまくるのだ。
感覚が麻痺してきているのか、どうでも良くなってる自分がいた。
「…だから。スマホ弄って突っ立ったり、しゃがんだりしていたら、声かけられたんだよ。『誰かと待ち合わせしてるの』って」
直前までの元気はどこへやら。
急激に声のトーンを落とし、陸は呟く。
「…だから。その。『彼女と待ち合わせしてる』って、答えた」
言い淀んでいたが、やがて陸はありのままを口にする。
華夜子の瞳が、見開かれる。
「…いいだろ、それくらい。彼女、ではないけど。他人にちょっと見栄張るくらい、許してよ」
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