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蕩けるようなキスをして
第29章 嫉妬
「そうこうしてる内に朝の五時とかになってさ。これはもう、このままベッドにいてもどうせ寝れないって分かったから、思い切って起きた訳」
「うん」
「…で。起きたら起きたで、もう数時間後には華夜に逢えるんだなあって、ぼんやり考えていたら、今度は凄く緊張してきてさ」
「…」
「このまま家にいても絶対落ち着かない。なら、いっそ、ちょっと早いけど、もう待ち合わせの場所に行っていようって-」
「それで?」
「それでって…だから、少し早かったけど、ここに来て、華夜を待ってたよ?」
いまいち歯切れ悪く、陸は答える。
不審そうな華夜子の視線をかわし、陸は背後の銅像を見遣った。
「で?」
追及の手を休めない華夜子に、陸は観念して先を続ける。
「…で。そしたらあの女、じゃなく…あの彼女が声かけてきてさ」
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