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蕩けるようなキスをして
第29章 嫉妬
こんなに、自分を晒しているのに。
こんなにも、好きだと、自分の気持ちを伝えているのに。
彼女は知っているのだろうか。
力でなんて簡単だ。
自分が少し本気を出すだけで、今掴んでいるこの細い両腕毎、いとも簡単に抱き締めてしまえる事を。
そうなったら、もう絶対、離す気なんかないって事を。
知らないから、見ないでいられる。
知らないから、見ないまま。
こっち、見て。
こっちを、見て。
華夜、俺を、見て-。
心で強く念じるけれど、そう簡単にはいかない。
すぐになんてなびかない。
それが、彼女。
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