パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第26章 彼の隣り

情けないのも。
彼女にはもうとっくに、知れてる。
今更隠しても無駄だ。
今更隠し通せる訳もない。
なら。
曝け出す。
曝け出して、ずっと、彼女を抱いていたい。
もっと、彼女の顔を自分の胸に押し付けていたい－…。
「…ほんと、馬鹿みてーに、どきどきしてんだろ」
そう言う唇でさえ、なかなか思い通りに動いてくれない。
もつれそうになりながら、陸はやっと、呟いた。
彼女が相手だと、何もかもが上手くいかない。
彼女が相手だと、気の利いた台詞ひとつ言えない。
彼女が相手だと、心臓が暴れ回って仕方ない。
彼女が相手だと、手を握る事でさえ、シュミレーションを繰り返した果てに、ようやく。