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蕩けるようなキスをして
第26章 彼の隣り
私は、知ってる。
その長い脚で歩けばあっと言う間なのに、歩調を私に合わせてくれている事。
私が少しでも遅れれば、まるで自分を責めるように、慌てて歩みを止めて。
繋ぎ始めは、恐る恐る。
でも、一旦繋いでしまえば、それは優しく手を包み込んでくれて。
どんな時でもなかなか離してくれないのは、ちょっと、困るけれど。
歩道を歩く時は必ず、自分は道路側で。
私を、少しでも危ない物から守ってくれるかのように。
私を見詰めるその瞳は、限りなく、穏やかで。
私がその視線に気付けば、ばつが悪そうに目を逸らされる。
その柔らかな栗色の髪を、きっと自分でも無意識のまま、大きく掻き乱して。
ただの卵焼きなのに。
それが一番の好物なの?
私が作ったから。
だから、一番、美味しいって-…。
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