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蕩けるようなキスをして
第3章 中庭
果たして、いつの間にか、左のいくつか空いていた席に、男友達数人と彼が座っていた。
目が合うと、陸は口角を上げ、囁いた。
「凄く美味しそう。今度俺にも作って来てよ」
それを合図に、華夜子はお弁当の蓋を即座に閉じ、箸やペットボトルのお茶と共に、乱雑に鞄に詰め込んだ。
「ちょ、ちょっと、華夜?」
右隣りの留以が、慌てる。
「まだ半分残ってなかった?もう食べないの?」
「ごめん。ちょっとお腹痛くなってきたから。おトイレ行って来る」
強ち嘘でもないそれを留以に伝え、華夜は腰を上げた。
確かに、今、緊張と不安でお腹は張り詰めたようになっている。
「え、大丈夫?」
一緒について行こうか?-心配する親友に、華夜子は笑って言った。
「ありがと。でも、平気。午後一の講義まで行くから、席取っておいて」
留以は頷いた-陸を何気に気にしながら。
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