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蕩けるようなキスをして
第19章 一カ月ぶりの
こちらからわざわざ探しに行かなくとも、向こうから存在を知らせてくれる。
初め、想像がつかなかった。
彼が図書館-だなんて。
こんな事を言ったらまるで馬鹿にしているようだけど、図書館なんて寄り付かない人だと思ってた。
本を読む彼-有り得ない。
例え読むとして、小説も漫画も、全てスマホの中で済まさせそうな-そんなイメージ。
だから。
椅子に深く腰掛け、背筋を伸ばし、真剣な眼差しで一冊の本と向き合う彼の姿に、正直驚いた。
全然おかしくなんかない。
幾冊もの本に囲まれた静寂の中、無理なく、溶け込んでいる。
その意外さに、暫く側に寄れない。
佇んだまま、鞄を抱え込み、少し遠くの場所から、そんな彼をただ眺め。
読み終え、次ページを捲る、指。
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