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蕩けるようなキスをして
第16章 返事はできない
だからと言って、絶対に電話をしようと思っていたのではなく。
だからと言って、絶対にメールを送ろうとしていたのではなく。
ほんとに、ただ、とりあえず。
深い意味なんてなかった。
電話をするしないにかかわらず。
メールをするしないにかかわらず。
決してこちらから訊いた訳ではないが、折角連絡先を教えてくれた彼に対し、控えもしないのは流石に失礼かと思って。
もし、自分が、逆の立場なら、やっぱり傷付いてしまうかな、とか…。
とにもかくにも、とりあえず、控えた。
それで良しとした。
彼は言った。

『退屈でしょーがないって日が、一日でも、もしもあったなら』

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