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第72章 最愛

「だって陸が…あ、愛してるって。愛してるとか…言うからっ。だから…！」
「いちいち何度も繰り返すなよ。増々恥ずかしくなるだろーがっ」
「いきなり言ってきたのは陸でしょーがっ。は、恥ずかしいのはこっちだっつーの！」
「いきなりじゃねーよ。だからさっきから何度も呼んだじゃねーか。前置きしてから言おうとしたのに…なのにお前がっ」
－何回呼んでも、返事をしてくれないから。
陸の拗ねたような横顔に、華夜子の胸がちくりと痛む。
「柄にもない事言うなって嗤えばいーだろ。口にした俺がそう思ってるぐらいだ、言われたお前が戸惑ってるのすげー分かるし。ってか、笑い飛ばしてくれないと…冗談に決まってるだろって、言えねーだろ」
語尾は、消え入りそうだった。
早口にまくし立てたきり、陸はそのまま押し黙ってしまう。
怒っているような陸の横顔に、華夜子は怯えてしまったが。
勇気を出して恐る恐る問う。