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蕩けるようなキスをして
第72章 最愛
溢れる想いを彼女に伝える手段のひとつとして。
愛する彼女をもっと愛したくて。
こうして、抱いている-。
「華夜」
その名を呼ぶだけで。
その名を口にするだけで、愛おしさに胸が締め付けられる。
返事が欲しくて声を掛けるのに、まだ根に持っているらしく、そっぽを向かれる。
魅惑的な唇は閉じられたまま。
重ねたくとも重ねられなかった頃が嘘みたいに。
今ではしたいと思った時に、好きなだけ。
果てなく。
出来るのを忘れてる?
どんなに固く結んでいたとしても。
簡単にこじ開けてしまえるのを、忘れてしまった?
陸が横から素早くその唇を攫えば、華夜子は抵抗してみせる。
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