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第72章 最愛

「そしたら先生が『じゃあ、結婚する？』って突然、まるで天気の話でもするように言ってきて－」
華夜子の口から飛び出した仰天のひとことに、陸は思わず大声を出す。
「えっ。なに、そのいきなりの話の飛び具合？結婚ってそんな簡単に決断出来るもんなの？」
陸にしてみたら熟考の末の、一生に一度の人生の大きな出来事だと思うのだが。
そんなたかが数秒考えてみただけで、すぐに口にしてしまっていいんだろうか。
いや、でも。
大人で。
立派で。
あんなに頭が良くて。
自分とは全然違う。
自分より遥かに頼りになる先生が言う事なら－間違いないのかな。
難しい顔で。
必死に考え巡らしている陸がおかしくて、華夜子はつい、吹き出してしまう。