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蕩けるようなキスをして
第71章 証
『結婚している訳じゃないし。今までずっと研究一筋で、稼いだお金を特別何かに遣う事もなかった。だから、御堂さんとのデート用に個室を借りるくらい?こうして誰の目も気にする事なく、堂々と御堂さんに逢える-』
高階先生はベッドの上に半身を起こした状態で、私にも隣りに座るよう促した。
密室にふたりきり。
更にベッドの上。
その時の私は、どれだけどきどきしていたか-遠慮がちにベッドの縁に腰掛けたところを、抱き寄せられた。
爆発寸前の心臓を抱え、先生の顔をそっと、見上げた。
羞恥に染まった私を見て、高階先生は微笑んだ。
笑った顔は私にどんどん近付き-そして、いつ振りだろう。
私と先生は、キスを交わした。
涙が出る程、幸せな時間だった。
白く小さな空間だったけれど、そこで先生と過ごす毎日は、ほんとに幸せだった。
そんな些細な幸福が、これからは永遠に続くんだ-婚姻届が入った鞄を手に、私は病院までの道のりを早歩きに進んだ。
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