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蕩けるようなキスをして
第69章 求める夜
-でも、ちょっと考えなしだった。
思い付きのまま、口にしてしまった自分が愚かだったと気付かされた。
「もし私が逆の立場だったなら、陸と同じようにいい気分はしなかった。陸が、私以外の誰かの名前を呼んだら…いや」
どちらからともなく、互いを見合う。
「ましてやそれが、こうやって抱き締めてくれてる時だったら…すごく、いや」
揺るぎない瞳を向けられ、陸は華夜子を掻き抱いた。
「…俺、ガキなんだよ。まだまだ全然、子供なんだよ。先生みたいになれたらいいけど、どんなに背伸びしたって、二十も上の高階先生みたいには、どうしたってなれない。先生ならきっと、俺の名前を聞いたところで、余裕の表情でいれるんだろうけど。…俺は、無理だ。なんでもない時なら、心穏やかにいれるけど。でも今は、絶対無理だ」
「…うん」
「俺を呼んでよ、華夜-」
ふたりの唇が重なった。
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