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第69章 求める夜

「さっき先生の事喋った時、なんだかすごく機嫌悪そうに見えたから。でも－」
－気のせいだったのかもしれない。
華夜子は、自分で自分の言葉を打ち消してみる。
実はずっと、気になっていたのだ。
あの瞬間の彼は、結構な豹変ぶりだった。
どう見てもただ事ではなかったと思う。
でも。
全て受け入れてくれた彼が怒ったりなんかしない－とも、思うし。
他の答えを必死に探し、ようやくひとつ思い当たる。
もういい。
もう分かっているから。
そう言ってくれていたのに、しつこく訊いてしまったからかな－それが一番、しっくりくる気がする。
考えを巡らし、自分を納得させようとしていた華夜子の耳朶に、陸の唇が触れた。
そして、意外なひとことを告げた。