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蕩けるようなキスをして
第69章 求める夜
「華夜を抱き締めたい。華夜とキスしたい。華夜とセックスしたい。そう思う気持ちがあるのも、紛れもない事実だ。ただしたいから、今夜一緒に過ごしたいって思ってた訳では絶対ないけれど。でも、華夜に触れたい、華夜を抱きたいって気持ちがあるから、今夜一緒にいたいって思っているのも本当で。華夜を好きになればなるほど、その気持ちが強くなってる。欲しくて、欲しくて…果てなく、華夜を欲しい。そういう風に、俺は華夜を見てる。そういう気持ちを抜きにしては、もう俺は華夜を見れない。…そう言ったら、華夜は俺を軽蔑する?」
口調は冗談めかしてたが、その双眸はふざけてなどいなかった。
真摯な眼差しに圧倒され、華夜子は一瞬、何も言えない。
口を開(ひら)けずにいると、陸の方から再度声を掛けてきた。
「そこで固まられると、この状態でこれからどうすればいいのか分からなくなる」
陸は薄っすらと苦い笑いを浮べ、華夜子の髪をひと撫でした。
華夜子は彼のそれに重ねるように、手を添えた。
「私だって、思うよ」
「華夜?」
「私だって、思う時ぐらいある。陸に触れたいって。陸に触れて欲しいって」
瞬きもせず。
彼を見上げる。
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