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蕩けるようなキスをして
第69章 求める夜
そのぎりぎりを支えられ、身体を少々強引に後ろに押される。
程なく背は、硬く冷たい壁についた。
ひんやりとした感触は-心地良いと言うよりは、冷たい。
まだ完全に温まっていない室内。
上半身、何も覆うもののない格好をしているので、当然と言えば当然だった。
一瞬眉を顰(ひそ)めたのを見られたのだろう、陸が訊いてくる。
「寒い?」
「…そりゃ、寒いよ」
華夜子が小声で俯けば、陸は苦笑した。
「ごめんね。でももう暫くすれば、大分温まると思うけど」
「…それもそうだけど。出来たらもう立っていたくないかなって」
「え?」
「場所を…移動したい、です」
華夜子の頬が、染まる。
まるで自分から誘っているかのような台詞に、自分自身が恥ずかしくなる。
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