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蕩けるようなキスをして
第68章 告白と口付け
「両親の元にそろそろ帰ろうかなって。子供は僕ひとりだし…何れ帰る事に変わりはないのなら、今帰るのも同じかなって-」
-そう、決めたんだ。
耐え切れずに、私は先生を見た。
目が合った先生は、淋しそうな笑みを湛えていた。
「多分と言うか…もう、こっちに帰って来る事はないと思う。それが分かっていたから、御堂さんにきちんと話を出来なかったのもある。…ごめんね」
酷く混乱する頭で、私は喚いた。
「地元って…だって先生、こんなに立派で、こんなに有名で。この大学に残って研究を続ければ、もっと絶対に…!」
「地位とか名誉とか…そういうものは、僕は一切欲しくない。好きな事をこれからも続けられるのなら、どこの大学でも構わない」
言い切られ。
私はもう、平静でなどいられなかった。
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