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蕩けるようなキスをして
第68章 告白と口付け
耳を疑った。
本だらけの部屋の中。
私は立ち尽くして、今言われた事を頭の中で繰り返す。
聞き間違いであって欲しい-何度も思ったけれど。
一生懸命似たような言葉を、必死に探してみたけれど-遂に思い付かなかった。
目の前で本棚を探る高階先生の横顔を、絶望的な気持ちで見詰めた。
どこにやったかな-独り言を漏らしつつ、暫く本棚を漁っていた先生だったが、やがて一冊の黒い背表紙の本を取り出した。
それを差し出されたが、私が受け取れるはずがなかった。
横に視線を逸らし、口を噤んでしまった私に怒る風でもなく。
私に向けた本を下し、高階先生は微かに笑ったようだった。
ほんの一週間前。
この同じ部屋で、初めて先生に抱き締めてもらったばかりだった。
時間にしたら、長くてもきっと、一分程度だったと思う。
それでも。
私にしてみれば、永遠にも似た甘美過ぎるひとときだった。
本だらけの部屋の中。
私は立ち尽くして、今言われた事を頭の中で繰り返す。
聞き間違いであって欲しい-何度も思ったけれど。
一生懸命似たような言葉を、必死に探してみたけれど-遂に思い付かなかった。
目の前で本棚を探る高階先生の横顔を、絶望的な気持ちで見詰めた。
どこにやったかな-独り言を漏らしつつ、暫く本棚を漁っていた先生だったが、やがて一冊の黒い背表紙の本を取り出した。
それを差し出されたが、私が受け取れるはずがなかった。
横に視線を逸らし、口を噤んでしまった私に怒る風でもなく。
私に向けた本を下し、高階先生は微かに笑ったようだった。
ほんの一週間前。
この同じ部屋で、初めて先生に抱き締めてもらったばかりだった。
時間にしたら、長くてもきっと、一分程度だったと思う。
それでも。
私にしてみれば、永遠にも似た甘美過ぎるひとときだった。

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