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蕩けるようなキスをして
第67章 彼だけ
「何よ。あんたの大好きな、華夜じゃなくって悪かったわね。だからって、そんなにがっかりして、そんなに嫌そーな顔しなくたっていいじゃないのよ」
全くフォローになっていない陸の言葉に、乃愛の機嫌は更に悪くなる。
「いや、だってさ。また怒鳴られるのかと思えば-」
そこまで言い。
陸の表情が、今度こそ明るくなった。
「華夜…ルイさんも」
頬を膨らます乃愛の後ろに佇んでいたふたりに、陸は笑い掛ける。
自分を認識した時とはあまりにも違う陸の高揚振りに、乃愛はやってられないとばかりに、テーブルを挟んだ彼の真向いに少々乱暴に腰を下ろした。
そんな彼女に倣うように。
留以は乃愛の隣りへ座り、華夜子は陸の右隣りの椅子を引いた。
十日振りの再会に胸高鳴らせ、陸は微笑んだ。
「元気だった、華夜?」
「…うん」
俯きがちに、華夜子は微かに笑う。
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