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蕩けるようなキスをして
第67章 彼だけ
カフェテリアの大きなガラス張りの窓から、空を舞う白い雪を眺めてた。
冬休みの間帰省していた実家とは、まるで比べ物にならないけれど。
それでも今年の冬は、去年よりも遥かに雪の量が多い。
今日、彼女は転ばずに、大学まで歩いて来られたのかな-ちょっと心配になる。
右手に持っていたスマホの電源を入れ、時間を確認する。
そろそろ-思うと、自然顔が綻ぶ。
そのタイミングで、背中を叩かれた。
嬉しさを湛えたまま振り返り-その顔が瞬時に歪む。
あからさまな嫌悪感丸出しのそれに、背後に立っていた乃愛もまた、思い切り眉を顰(しか)めた。
「なに。そのすげー失礼な態度は?」
乃愛の頬が引き攣る。
一瞬にして機嫌を損ねてしまったらしく、陸は慌てて宥める。
「いや、ごめん。そうじゃなくて…てっきり華夜かなーって思ったから。だから-」
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