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蕩けるようなキスをして
第66章 秘密
拍子抜けしてぽかんとしていると、最高に意地悪く、陸が口角を上げた。
その全てお見通しの笑みに、いつも翻弄されっ放しの華夜子は悔しくて仕方がない。
「華夜の乗る電車、あと五分くらい?」
知ってて、その話題には決して触れてこない。
陸-ポケットに入っていない方の左手で、華夜子は彼の腕をコートの上から引っ張った。
こちらに顔を向けた陸の首に手をかけ、背伸びをし、素早く彼に掠めるようなキスをする。
予期せぬ行動に固まったままの陸をそのままに、華夜子は何事もなかったかのように、再び前方に向き直る。
「そうだね。あと数分で電車、来るね」
ホームには他にも電車を待つ人達がいた為、心臓は破裂しそうだったが、努めて冷静を装い呟く。
「…ば、ばかっ」
数秒後。
陸の短い罵声が聞こえた。
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