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蕩けるようなキスをして
第66章 秘密
先生が私に本を貸してくれるのは、あの日以来。
あの日以来一度もなかったのに。
何故今日に限って、そんな言葉を掛けてくるのだろう。
先生をただ好きでいた頃であったのなら。
喜んでついて行っていただろう。
でも。
もう。
私は-…。
けれど、多分好意から言ってくれている-葛藤していると、留以が背中を押した。
『私、カフェテリアで待ってるから』
『東雲(しののめ)さんは、一緒に来てくれないの?』
高階先生が、僅かに焦った-ような気がした。
先生の問い掛けを、留以は苦笑いでかわす。
『面白い小説なら嬉しいけど。勉強の本なら遠慮しときます』
留以のそれに、先生もまた苦笑した。
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