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蕩けるようなキスをして
第12章 乃愛
何を今、考えてたの。
彼が誰と何をしようがそんな事、私に全然関係ないのに。
私と彼は、なんでもないのに-…。
困惑する華夜子の耳に、乃愛の声が届く。
「櫻葉陸ってさ、来る者拒まずで、誘えば誰とでもやるよ。ホテルだって、まるでカラオケにでも行くみたいに、じゃあ行くか、って感じで。…でも、それだけ。本当に、ただ、やるだけ。好きとか嫌いとか、そんな感情なんて皆無。気持ちいいのかどうかも分かんない。ただ義務でやってるみたいな。あんな容姿だし、性格も当たり障りないし、大勢近付くけど、結局誰一人として櫻葉陸の心を動かす事は出来なくて、最後は皆去ってくんだよね」
軽くウエーブのかかった毛先を指で弄びながら、乃愛は語る。
「あんな格好いい男なんてそうそういないから、最初は彼氏にでもなってくれたらいいなって、軽い気持ちで近付いたけど。側にいる内に、段々そういう櫻葉陸の本性っていうの?それが分かってきてさ。…あ、この男は駄目だ、止めとこうって。本気になったって、この人は自分は勿論、絶対誰の事もきっと好きにならない。好きになれない人だって」
「…」
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