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蕩けるようなキスをして
第65章 返事
しかし陸は複雑そうな表情で、苦笑いを浮かべた。
「あ~…よく言われる。『いいひとだね』って」
さほど嬉しくなさそうな陸の様子が、華夜子は引っ掛かる。
「でも、それってさ。こんな見た目だから、そのギャップでそう思うだけなんじゃないの?見かけによらずってのも、よく言われるし。すっげー遊んでそうな外見だから、極普通の事してるだけなのに、すげーいい事してる風に錯覚しちゃうんじゃないの?…そう考えると、得してんのかな、俺?」
コップの水を口に含み、陸は鼻を鳴らした。
落栗色の波打つを髪を掻き上げた拍子に、左耳に光るピアスが僅かに見えた。
華夜子は陸の耳朶を飾るそれを眺めつつ、苦笑する。
「まあ、そーいう部分ももしかしたら、ちょっとはあるかもしれないけどさ」
「あるかもってか、ほぼそうだろ」
「違うよ。陸は…ほんとにいいひと過ぎるくらいの人だよ」
本当だった。
本当に心の底から思っているから、華夜子はきっぱりと言い切った。
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