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蕩けるようなキスをして
第62章 理由
「…また、して欲しい」
「何を…?」
「だから。ポケットに…」
頬を染めながら、華夜子は察しろとばかりに、短く放つ。
それきり口を噤んでしまった、華夜子の恥ずかしそうな様子に、ようやく陸は思い当たる。
もの凄く意地の悪い笑みを浮かべ、陸は彼女に顔を近付けた。
「胸キュン、したいんだ?」
図星とばかりに、華夜子の頬は熟した果実の如く、真っ赤に染まる。
そんな彼女が可愛くて、陸は華夜子に軽く口付けた後(のち)、手袋を嵌めていない右手を取った。
繋いだままの互いの手は、昨夜と同じように、陸のコートのポケットに収まる。
陸は笑い、彼女を促した。
「行こ、華夜-」






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