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蕩けるようなキスをして
第62章 理由
「予約してくれてたお店、私のせいで行けなかったから。私が遅い時間に着いたから、他のお店も開いてなくって-」
「その事はもういいよ。俺も色々悪かったし。…華夜、後ろ向いて」
向かい合っていた身体を、有無を言わさず反転させられる。
「りく?」
どうしたの-その疑問は、すぐに解決した。
「乾かしてあげる。終わったら、ファミレス行こ?」
いつの間にかドライヤーが用意されており、陸の手によって髪に温風が当てられ始める。
まさかそんな事をされるとは、露程も思っていなかったので、華夜子は慌てる。
子供の頃ならともかく、美容室以外で誰かにやってもらうなんて-慣れてないだけに、なんだか気恥ずかしい。
しかし、そんな華夜子の思いなど関係なく、陸は慣れた手つきで華夜子の長い髪に触れる。
「俺、年の離れた妹がいるんだけど。実家にいた頃、よくこうやって妹の髪乾かしてたから」
「そう、なんだ…?」
赤い顔で華夜子が呟けば、背後で陸が笑った気配がした。
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