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蕩けるようなキスをして
第61章 恋と憧れ
向こうにしたって、自分は単なる新入生のひとり。
まだ成人もしていない、子供。
一人前の女としてなんて、見てないに決まってる。
ちょっと考えれば分かる事なのに。
それをなんで私-恋だなんて。
もうこの事は考えないようにしよう。
吹っ切るように頭を振り、お弁当箱の蓋を開ける。
卵焼きを箸で摘まもうとして-その手が、止まる。
でも。
じゃあ。
なんで。
あの時、どきどきしたんだろう。
その理由だけはどうしても、説明がつかない気がする。
つかないけれど-深く、考えてはいけない。
卵焼きをひとつ、口に運んだ。


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