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蕩けるようなキスをして
第60章 T
「…うん。学生の頃からずっと勉強、研究ばっかりで、恋愛なんか二の次で生きてきたって。だから、気付いたら、この年でまだ独身なんだよって、笑いながら教えてくれた」
その時の事を思い出し、華夜子の口元が緩んだ。
その懐かしむような彼女の笑みに、陸の頬が僅かに上がった。
「なら。何の問題もないじゃん。高階先生を好きになって。高階先生が華夜を好きになってくれて。良かったなって、心からそう思うよ。…ただ、強いて言うなら、普通の恋人同士のように、気軽にどこかに行ったりは出来なかったみたいだから、それは残念だったのかな?」
遠慮がちな陸の声に、華夜子は複雑な笑いで応える。
たまに新聞や雑誌に名前が載るくらいには、有名な先生だった。
将来を嘱望されていた先生。
その未来を潰すような事は絶対に出来ない-そう、思った。
自分は女で。
自分は未成年で。
先生に良からぬ噂が立たぬよう、側に寄る事は-憚られた。
先生が何かを言ってきたのではない。
その時の事を思い出し、華夜子の口元が緩んだ。
その懐かしむような彼女の笑みに、陸の頬が僅かに上がった。
「なら。何の問題もないじゃん。高階先生を好きになって。高階先生が華夜を好きになってくれて。良かったなって、心からそう思うよ。…ただ、強いて言うなら、普通の恋人同士のように、気軽にどこかに行ったりは出来なかったみたいだから、それは残念だったのかな?」
遠慮がちな陸の声に、華夜子は複雑な笑いで応える。
たまに新聞や雑誌に名前が載るくらいには、有名な先生だった。
将来を嘱望されていた先生。
その未来を潰すような事は絶対に出来ない-そう、思った。
自分は女で。
自分は未成年で。
先生に良からぬ噂が立たぬよう、側に寄る事は-憚られた。
先生が何かを言ってきたのではない。

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