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蕩けるようなキスをして
第60章 T
このとてつもなくシリアスな場面に、およそ似つかわしくない彼の行動に、華夜子は不満を漏らす。
「痛いってば、りく…」
-何するの。
華夜子の抗議などお構いなしに、額を彼女に寄せたまま、陸は怒ったように告げた。
「引く?なんで?年の差が大きいから?相手が立派なひとだったから?誰かを好きになるのに、年齢も職業も関係ないだろ。…現に、俺は華夜よりひとつ年下だけど、華夜を好きになった。華夜に忘れられない誰かがいるのを承知で、それでも華夜を諦め切れなかった。誰かに何かを言われたところで、想いは絶ち切れない。一筋縄ではいかない。とても複雑で。…ひとの気持ちって、そーいうもんだろ?」
「…私。先生を好きになって良かったのかな。間違っていなかったかな?」
「誰も華夜の事を悪いとか、間違っていたとは言えない。言う権利なんてない。俺にだってない。そもそも何も悪くないし?…それが例えば不倫とかだったら、流石にちょっと困るけどさ」
-高階先生、独身だったんだろ?
陸の問い掛けに、華夜子は頷いた。
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