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第59章 蕩ける夜

華夜子は我に返り、陸を見た。
微笑まれ、華夜子は更に紅潮してしまう。
「大丈夫？」
気遣われ、心臓がばくばくし始め、華夜子はしどろもどろになりつつ口を開いた。
「…よ、用意がいいんだね」
「ゴムの事？」
「…そう、かな」
「彼女がいたら、男なら当たり前だろ」
「…余りじゃなく？」
「え？」
「その…誰かとの残り…なのかな、とか。だったら、ちょっと、とか…何言ってるんだろ、私」
自分で自分が分からなくなり、増々焦り出した華夜子に、陸は顔を近付けた。
「誰とのものでもない。華夜としたいと思って、買ったものだ」
真顔で言われ、華夜子は恥ずかしさの中にも嬉しさを宿し、小さく首を縦に振った。