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蕩けるようなキスをして
第10章 卵焼き再び
宣言した通り、結構なスピードで食事を進めているらしい華夜子の様子を確認し、陸は安堵する。
次いで、苦い笑いを浮かべる。
「…まあ、そんなもん?」
華夜子の問いに、陸は答える。
そっか-頷き、華夜子は急いで箸を運ぶ。
なんて事のない話題。
話し掛けられた事が嬉しくって。
名前をまた呼んでもらって。
馬鹿みたいに舞い上がって。
何もかもに心躍る。
何もかもが彼女とだと楽しい。
憂鬱で退屈だった毎日。
モノクロだった世界。
どうしてこんなにも今、疾走感に溢れ、鮮やかに-…。
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