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蕩けるようなキスをして
第58章 真相
「陸があんまり優しくて。陸がどんな時でも優し過ぎて。それでつい-」
泣き笑いのそれで見られ、陸の心臓に無数の細かい針が突き刺さる。
「…物分りのいい振りをしてるだけだ。心の中では真っ黒な感情をいつも抱(いだ)いてる。華夜に嫌われたくない。だから表面には出さないだけだ」
本当は、今夜だけでなく。
もっと。
もっと、ずっと。
彼女を独り占め出来たらいいのに-そう、希求してる。
いつになったら消えてくれるんだろう-思った事は一度や二度ではない。
それが無理なら、せめて今夜だけ-愚かにも我慢が足りず、喋ってしまった。
「ごめん。酷い事を言った-」
やるせない重々しい溜め息が漏れる直前。
「指輪を預けてからずっと、陸の事を考えてた」
呟かれ。
陸は華夜子を見た。
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