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蕩けるようなキスをして
第58章 真相
言いたい事があるのなら。
ひとこと謝りさえすれば、いいのなら。
願いを、聞かせて-。
「ごめんなさい、陸-」
俯いたままだった華夜子が、面を上げた。
真剣な瞳が、陸を射抜く。
「もうお見通しだと思うけど。この間大学にして来た指輪は、以前付き合っていたひとに貰ったものです。…言い訳にしか聞こえないだろうけど、ほんとに久し振りに嵌めたの。普段はずっと、机の引き出しの奥に。…陸に初めて逢った頃は、まだしてた。嵌めては時折思い出し、哀しみから逃れられずにいた。もうずっと一生、このままなのかもしれない…そう、思ってたのに。それでもいい…思っていたのに。なのに-」
華夜子の双眸が、狭まった。
「あのひとが死んでしまった時。神様なんていない。絶対に神様なんていない、確かにそう慟哭したのに。やり場のない哀しみを、神様を憎む事で、どうにか日々晴らしていたのに。それなのに-」
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