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蕩けるようなキスをして
第58章 真相
やがて全てのボタンを外し終わり、コートから両腕を抜く。
そして、綺麗に畳んだそれを、膝を折って座る自分のすぐ脇に置いた。
一連の華夜子の動作を見ていた陸は、苦笑を重ねた。
「何?なんか緊張してる?」
「えっ…そんな事、ないけど」
一応そうは答えるものの。
実際華夜子は、色んな事に張り詰めていた。
そんな気持ちを彼に悟られぬよう、華夜子は陸から顔を逸らす。
ふうん?-陸の口角が、僅かに上がった。
「自分から俺の部屋に来たいってねだった割に、いざ来てみたら、やっぱ急に不安になった訳だ?」
華夜子の隣りに腰を下ろし、陸はわざとのように身体を密着させてくる。
「…ねだってないし。陸が訊いてきたんじゃないの『俺んち来る?』って」
華夜子は自然を装い、寄って来た陸から少し、身体を遠ざける。
しかし。
陸は意地悪く、またしても彼女に擦り寄る。
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