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第58章 真相

次第にエアコンが効いて暖かくなってきた室内に、ようやく陸は着ていた黒のチェスターコートを脱いだ。
もう寒さに震える必要がない現実に。
思わず、小さな溜め息が漏れた。
色々と思い煩う必要がなくなった安心感に、程良く脱力する。
ふと。
テーブルの近くに正座する彼女が視界に入り、陸は苦笑いした。
「脱がないの？」
「えっ？」
「コート。脱がないの？結構部屋暖かくなったから、多分脱いでももう寒くないよ？」
「あ…」
陸に指摘され、白いコートを着たままだった自分に、華夜子はやっと気付く。
頷き。
コートの一番上のボタンから、順に外してゆく。