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蕩けるようなキスをして
第9章 華夜子
「華夜子って、呼んで。今まで通り。もう年下なのに、なんて、言わないから」
真剣に言われ、陸は面食う。
「…急にどうしちゃったの」
目を丸くし、陸は、漏らす。
「最初は呼び捨てなんて、嫌だった。今まで話した事もないのに、いきなり知り合いになっただけで、馴れ馴れしく呼ばれ始めて。しかも…学年が下なのに、余計に。なんて常識も遠慮もないひとなんだろうって-」
「…」
「でも、今は。今は、違う。だから、呼んで欲しい。呼んでくれると嬉しい。それ以上も、それ以下も、理由はない」
「…馴れ馴れしいのも。常識がないのも。遠慮がないのも。これからも、俺は変わらないよ」
華夜子の言葉に、陸は開口した。
茶色の瞳で隣の彼女を捕らえて、陸は告げる。
「そんなどうしようもない男が、俺だ」
自嘲気味な囁きが、華夜子を縛る。
ふたりの視線が絡み合う。
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