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第57章 クリスマス・イヴ

久し振りの至近距離に、華夜子の頬は否応なしに染まる。
いつも。
どんな時も。
こんな時も。
こんな時だから。
どきどきして。
どうしようもない。
こんなにも、どきどきさせるのは、あなたしかいない。
知ってるくせに。
本当は、知ってるくせに－。
「誰？」
彼が近付き、彼に近付く度に香るいつもの匂いが、白い息に混じり、鼻腔に届く。
「…そ、それは」
迫って来られ、逃げ場もなく、華夜子は困り果ててしまう。
涙なんか、いつの間にか忘れた。