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第55章 待ち人来ず

そのよく似たひとのすぐ隣りに、同伴者らしき人物。
その高い身長。
がっしりとした体形。
短めの髪型。
歩き方。
男である事は間違いなかった。
なんだ、イルミネーションを見に来たカップルか－やはり、自分の見間違いだった。
残念でもあり。
安心でもあり。
複雑な心境で、そのふたり連れから視線を外そうとし－それは、敵わなかった。
ちょうどまだ開（あ）いていた、飲食店の前を通過する際。
店の灯りが、ふたりを照らす。
隣りを歩く彼女が横を向き、右隣りの彼に何かを告げていた。
後頭部を殴られたかのような衝撃が、身体中を駆け巡る。
見間違いようがなかった。