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蕩けるようなキスをして
第54章 待ち合わせ
もしも彼女が遅れてここへ到着した時に、すぐに見付けてあげられるように。
もしも彼女が自分を探して通りを歩いていたとして、すぐに見付けてあげられるように。
見付けてあげるだなんて。
随分上から目線だな-陸は、嘲笑する。
見付けたい。
すぐに見付けたいのに。
今夜、彼女がここに来てくれたらの話、だけど-…。
車道を挟んだ斜め前に、一軒の店を発見する。
彼女と行く予定で、予約をしていた-。
『新しくオープンしたばかりで、凄く美味しいって評判だから、行ってみたい』
彼女に乞われ、自分が電話をしたパスタの専門店だった。
運良く予約が取れ、今日の六時に一緒に行くはずだった。
予約時間をもう一時間も過ぎてるから、例え彼女が来てくれたとしても、今からは難しいだろうな-淋しい笑いが、零れる。
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